愛知・蟹江の一家殺傷1カ月 室内で家族以外の手袋跡発見

2009年6月1日 中日新聞 朝刊


発覚から1カ月を迎える家族3人の殺傷事件。犯行現場となった山田さん宅を調べる捜査員ら=5月2日、愛知県蟹江町で、本社ヘリ「おおづる」から



 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)方で山田さんら家族3人が殺傷された事件で、室内から山田さんの家のものとは異なる作業用手袋の跡が見つかっていたことが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。喜保子さん殺害の凶器とみられるモンキーレンチが、工場などで主に使われる種類だったことも判明。特捜本部は、犯人がレンチと手袋を用意した可能性が高いとみて、レンチの流通経路や、紛失したり、盗難被害に遭ったりした事業所がないか調べる。

 捜査関係者によると、遺留品などから犯人のものとみられる指紋は採取されず、犯人は手袋をはめていた可能性が高い。手袋の跡は室内から複数検出されたが、喜保子さんが使っていた手袋とは異なる型があり、作業用とみられる。

 一方、捜査関係者への取材では、モンキーレンチは1階廊下で見つかり、血をぬぐった状態。長さは約30センチで県外の有名メーカーが生産し全国に流通している。大きさから、一般家庭ではあまり使われないという。特捜本部の現場検証では、犯人が犯行時に着ていたとみられるパーカも見つかっている。

 【蟹江・母子3人殺傷事件】 5月2日昼、愛知県蟹江町蟹江本町の会社員山田喜保子さん(57)方で、首を刃物で刺され両手を電気コードで縛られた三男の会社員勲さん(25)が保護され、1階和室で次男の洋菓子店員雅樹さん(26)が刺殺されているのが見つかった。駆け付けた蟹江署員は室内でうずくまる若い男を目撃したが、署員が無線連絡をする間に男は勝手口から逃げた。翌3日午後、1階押し入れから鈍器で殴り殺された喜保子さんが遺体で発見された。




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2階にも血液反応、衣服持ち出す? 蟹江殺傷

 2009年5月18日 中日新聞 朝刊

 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)方で家族3人が殺傷された事件で、2階にもわずかに血液反応が確認されたことが蟹江署特捜本部の調べで分かった。捜査関係者が明らかにした。2階に現金が残されていたことも新たに判明。特捜本部は、犯人が2階で山田さん家族の衣服を持ち出した可能性があるとみている。

 特捜本部によると、殺害された次男雅樹さん(26)と負傷した三男勲さん(25)の部屋がある2階には、目に見える血痕はなかった。室内で争ったり、家具を荒らした跡もなく、雅樹さんの部屋から現金が手付かずで見つかった。しかし、検証の結果、少量の血液反応が確認されており、犯人が喜保子さんか雅樹さんを殺害後、2階に上がったとみられる。

 山田さん家族の血液型はいずれもA型で、特捜本部は、家族以外の血痕がないか、鑑定を進めている。

 特捜本部が公開した犯人の遺留品のパーカは、汚れやにおいがひどいことから、犯人が下着などの着替えを探した可能性がある。

 ベランダに面した勲さんの部屋には取り込まれた多数の洗濯物が積まれていた。特捜本部は、なくなったものがないか勲さんから確認を急ぐとともに、ほかにも遺留品があるとみて調べている。


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犯行当時は屋外生活か 蟹江殺傷、犯人の服公開

 2009年5月16日 中日新聞 朝刊


犯人の遺留品とみられる、右腹部に穴が開いた上着=15日、愛知県警蟹江署で




 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)方で家族3人が殺傷された事件で、蟹江署特別捜査本部は15日、犯人が室内に残していった灰色のパーカを公開した。汚れやにおいがひどいことから、特捜本部は、犯人の男は事件当時に屋外生活を送っていたとの見方を強め、パーカに汗や血痕が付着していないか鑑定を進めている。

 また、右脇腹部分には長さ5センチほどの裂け目があった。特捜本部は、3人を襲った際に犯人もけがをした可能性があるとみている。

 パーカは男性用LLサイズで、胸の部分に「WHO involves」と印刷されている。玄関付近で畳まれた状態で発見され、全体がぬれていた。山田さん家族の関係者が「見覚えがない」と話したため、犯人の遺留品と判断した。

 特捜本部によると、パーカは名古屋市中村区の業者が10代後半から20代前半の若者向けに、中国で製造。2003年末から04年初めにかけ全国の商業施設で1000円前後で販売され、中部地方では82店舗が扱った。犯人のパーカと同じサイズと色のものは450着超が流通したが、流通ルートの解明は困難という。

 首や肩の部分が黄ばむなど汚れが目立ち、すえたにおいを放っていた。特捜本部は犯人像について、事件当時は屋外で生活することが多かった男の可能性が高いと判断、犯人がパーカを洗って付着した被害者や自分の血を落とした可能性があるとみている。

 一方、捜査関係者によると、1階廊下に置かれていた椀(わん)に付いた唾液(だえき)から犯人のものとみられるDNAが検出され、犯歴者のDNA型を登録したデータベースで照会したが、今のところ合致する型はないという。特捜本部への情報提供はフリーダイヤル(0120)011076へ。


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遺留品のパーカ公開 親子3人殺傷で愛知県警

 2009年5月15日 21時26分 中日Web



 愛知県蟹江町で会社員山田喜保子さん(57)ら親子3人が殺傷された事件で、県警蟹江署捜査本部は15日、犯行現場に残されていた犯人のものとみられる灰色のパーカを公開、フリーダイヤルを設置し情報提供を呼び掛けた。

 パーカのサイズはLLで中国製。捜査本部の説明では、名古屋市内の衣料メーカーが製造、同色同サイズの製品は全国で2003年から04年にかけて、約450点が販売された。

 捜査本部によると、パーカは山田さん宅の玄関付近にあり、水にぬれたような跡があった。右脇腹付近が切れており、フードのふちが黄ばんでいたという。

 情報提供は蟹江署捜査本部、フリーダイヤル(0120)011076。
(共同)

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靴片方が浴槽内に 蟹江強殺、一方は玄関

 2009年5月14日 中日新聞 朝刊




 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)方で家族3人が死傷した事件で、家族のものとみられる靴の片方だけが浴槽内で見つかっていたことが、蟹江署特捜本部への取材で分かった。同本部は犯人の不可解な行動を分析している。

 捜査関係者によると、靴は男物の片方で、水を張った浴槽にタオルや毛布などと一緒に投げ込まれていた。もう片方の靴は玄関で見つかった。

 事件では玄関にあった三男の会社員勲さん(25)の運動靴が、なくなっていることが既に判明しているが、浴槽から見つかった靴はこれとは別の物という。

 一方、玄関付近で見つかった犯人の遺留品の可能性があるウインドブレーカーのそばに、ぬれた状態のタオルが複数枚、置かれていたことも分かった。ウインドブレーカーもぬれた状態。犯人が3人を殺傷した際に着ていたウインドブレーカーに返り血を浴びたり、負傷して自分の血が付いたため、水で洗った可能性がある。


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殴打凶器持ち込む? 蟹江殺傷、販売ルートを調査

 2009年5月12日 16時03分 中日Web

 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)ら親子3人が自宅で殺傷された事件で、犯人が喜保子さんを襲った際に使ったとみられるモンキーレンチについて、軽傷を負った三男の会社員勲さん(25)が「うちの物かどうか分からない」と話していることが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。特捜本部は、犯人が山田さん方に持ち込んだ可能性が高いとみて販売ルートなどを調べている。

 特捜本部によると、喜保子さんの遺体は1階和室の押し入れで発見され、顔や頭などを鈍器で激しく殴られ死亡していた。凶器とみられるモンキーレンチは和室近くの廊下で見つかり、血がぬぐわれた状態だったという。

 特捜本部の現場検証で、犯人が次男の洋菓子店員雅樹さん(26)を刺殺したとみられる包丁と、勲さんを襲った際に使ったとみられる小刀が既に見つかっている。包丁は1階台所にあったとみられるが、小刀は犯人が持ち込んだ可能性が高い。

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三男の両手首にコード10回巻かれる 蟹江殺傷、発見時に

 2009年5月12日 中日新聞 朝刊



 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)ら親子3人が自宅で殺傷された事件で、軽傷を負った三男の会社員勲さん(25)が発見時、手首に細い電気コードを10回ほど巻かれた状態だったことが蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。

 特捜本部によると、2日午後零時20分ごろ殺害された次男の洋菓子店員雅樹さん(26)の上司と蟹江署員が山田さん宅を訪れると、両手首を電気コードで縛られた勲さんが玄関ドアを解錠して出てきた。コードは黒い色でパソコンの電気コードに似ているという。

 犯人は喜保子さんの頭や顔をモンキーレンチで激しく殴り、雅樹さんも背中を繰り返し包丁で刺して殺害したとみられるが、勲さんは首などを小刀で刺して負傷させ、その後で約10時間、室内に一緒にいて、時々会話するなどしていた。

 犯人は、勲さんのパーカをたくし上げて顔を覆った上で粘着テープを頭部から肩にかけて何重にも巻きつけており、特捜本部はこうした犯人の行動を詳しく分析している。


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三男の靴で逃走か 蟹江殺傷、現場に大量の粘着テープ

 2009年5月11日 中日新聞 朝刊



 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)ら親子3人が殺傷された事件で、玄関にあったはずの三男の会社員勲さん(25)の運動靴1足がなくなっていたことが蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。運動靴とみられる土足痕が室内の数カ所で確認され、同本部は犯人が履いて逃げた可能性があるとみて調べている。

 特捜本部によると、玄関にあった靴の写真を勲さんに見せたところ、勲さんの運動靴1足が見当たらないことが判明。家族以外の靴はこれまでに確認されておらず、犯人が証拠を残さないよう勲さんの靴に履き替え、自分の靴を持って逃走した可能性がある。

 室内には、運動靴とみられる土足痕のほかにもスリッパなど多くの足跡が重なり合った状態で残されており、どの靴のものか識別を急いでいる。

 また、現場から使用済みの粘着テープが大量に見つかっていたことも新たに分かった。勲さんの特捜本部への証言では、勲さんは2日午前2時半ごろに帰宅。玄関で座って靴を脱いでいるところを背後から襲われた。着ていたパーカのすそを後ろからたくし上げるようにして顔を覆われたといい、粘着テープはその際、犯人が姿を見られないよう何重にも巻いたとみられる。

 同日午後零時半ごろ、蟹江署員が勲さんを保護したときには自力で外していた。特捜本部は粘着テープに指紋などが残っていないか、鑑定を進める。


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愛知・蟹江の強殺 被害者宅の夕食、犯人が食べる?

 2009年5月10日 中日新聞 朝刊



 愛知県蟹江町で家族3人が自宅で死傷した強盗殺人事件で、殺害された会社員山田喜保子さん(57)が作り置きしていた夕食を犯人が食べたとみられることが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。さらに、山田さん方1階の和室で見つかった血が付いた小刀は、犯人が持ち込んだ可能性が高いことが判明。小刀は、軽傷を負った三男の会社員勲さん(25)を犯人が襲った際の凶器とみられ、特捜本部は販売ルートなどを調べる。

 捜査関係者によると、1階の食卓には、喜保子さんが家族のために用意したとみられる夕食があった。コロッケやたけのこなどで、喜保子さんの胃の内容物には食材と一致するものがあり、夕食後に殺害されたとみられる。ただ、食卓には、勲さんと、刺殺された次男の洋菓子店員雅樹さん(26)以外が食事した形跡があったという。

 特捜本部の調べで、犯人は室内に10時間以上とどまっていたとみられ、食卓の食器についた指紋や唾液(だえき)などの鑑定を進めている。

 また、特捜本部の現場検証で、1階廊下など室内の複数カ所から土足痕が見つかっていたことも分かった。特捜本部は、犯人が侵入した際か逃走時についたとみている。


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室内に血付いた小刀 三男襲った凶器か、愛知・蟹江殺傷

 2009年5月9日 中日新聞 夕刊


 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)と次男で洋菓子店員雅樹さん(26)が自宅で殺された強盗殺人事件で、血が付着した小刀が山田さん方で発見されていたことが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。雅樹さん殺害の凶器とみられる包丁とは刃の形状が異なり、特捜本部は軽傷を負った3男の会社員勲さん(25)を襲った際に犯人が使った可能性があるとみている。

 特捜本部によると、勲さんは2日午前2時半ごろの帰宅時に犯人に背後から襲われ、首の後ろなどを刺された。首の2カ所の傷の深さは3センチと5センチだった。雅樹さん殺害の凶器とみられる包丁の刃は洗面所の流しで血を洗い流されていたが、小刀は血が付いたままだった。特捜本部は小刀の血痕を鑑定、誰の血が付いているのかを調べている。



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屋外の血液反応わずか 蟹江強殺、室内で着替え逃走か

 2009年5月9日 中日新聞 朝刊
 





 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)と、次男で洋菓子店員雅樹さん(26)が自宅で殺害された強盗殺人事件で、蟹江署員の到着時に男が逃げたとみられる勝手口付近に、血液反応がほとんどなかったことが蟹江署特捜本部への取材で分かった。犯人が返り血を浴び、着衣を着替えて逃げた可能性があり、特捜本部は男について周辺で聞き込みを続けるとともに、遺留品の鑑定を進めている。

 特捜本部によると、山田さん方の現場検証で、屋内の床などからは多量の血痕が確認されたが、建物の周囲からの血液反応は少なかった。犯人は包丁やレンチで執拗(しつよう)に刺したり殴ったりしたことから、犯行時の着衣に2人の返り血が付いたとみられる。さらに、室内には血の付いた衣類などが残され、犯人が長く室内にとどまっている間に着替えた可能性があるとみている。

 これまでの鑑定で、現場から3人以外の血液は見つかってない。

 事件は9日で発覚から1週間。現場からは入念な証拠隠滅が浮かび上がるが、明確な動機は見えてこない。

 首を刺された三男勲さん(25)の特捜本部への証言内容や、これまでの捜査状況を総合すると、勲さんは、喜保子さんの居室だった和室に雅樹さんが倒れているのを見ており、2人は午前2時半までに殺害されたとみられる。勲さんが襲われてから蟹江署員が若い男を確認するまで、犯人は10時間以上も殺害現場にとどまっていた。

 犯人は長時間かけて証拠隠滅を図ったのか、浴室や洗濯機からは血痕をふき取ったとみられる毛布や血の付いた衣類が大量に見つかった。凶器には血をぬぐった跡があり、現場に残していった。

 3人の財布には紙幣がなく、犯人が奪った可能性がある。ただ、2人は顔を激しく殴られた一方、言葉を交わし、顔を合わせた勲さんにさらに危害を加えることはなく、「単なる強盗目的とも考えづらい」(捜査員)。喜保子さんの遺体が隠されていた押し入れに、愛猫も殺されて押し込まれていたのも犯行の異常性がうかがえる。

「捜査上の秘密と判断」 若い男目撃の公表遅れ、蟹江殺傷で

2009年5月9日 中日新聞 朝刊




 山田さん方での殺傷事件発覚時、犯人とみられる若い男を蟹江署員が目撃しながら同署特捜本部が公表を控えていた問題で、特捜本部幹部は8日、報道関係者に経緯を説明した。公表しなかった理由は「捜査上の秘密と判断した」と、述べるにとどまった。

 大橋哲生蟹江署長と立岩智博捜査一課長が同署で説明。「捜査上答えられない」と根拠は示さなかったが、男が逃げたことによる地元住民への2次被害はないと判断。署員が記憶する特徴がわずかで、住民からの情報提供は見込めないと、公表を見送ったという。

 山田さん方の近くに住む男性(62)は「すぐ公表していれば、近所から目撃情報が集まったのでは。犯罪の解決には住民の協力が必要なのに…」と話す。

 一方、喜保子さんの遺体を発見したのは事件発覚の翌日。「当初は(勲さんによる)2人死亡(の話)が確かなのか(どうか)と思った」と釈明するが、ある県警関係者は「室内の状況などから、2人が殺害された可能性は極めて高い。なぜ徹底的に捜さなかったのか」と首をかしげる。


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若い男、勝手口から逃走 蟹江強殺、財布の紙幣奪う?

 2009年5月8日 中日新聞 夕刊




愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)と、次男で洋菓子店員雅樹さん(26)が自宅で殺された強盗殺人事件で、事件発覚時に山田さん方にいた若い男は勝手口から逃走していたことが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。また、室内で見つかった3つの財布すべてに紙幣が入っていなかったことも判明。特捜本部は、男が犯人である可能性が高く、現金を奪って逃げたとみている。

 特捜本部によると、2日午後零時半ごろ、同署員と雅樹さんの上司ら3人が山田さん方を訪問。署員は、けがをした三男の会社員勲さん(25)を保護すると、1階南側の玄関ドアのすきまから、上がりかまちでうずくまる若い男を目撃。2分間ほど無線で事件連絡するうちに、男は室内からいなくなっていた。

 同本部の調べでは、署員は訪問時に1階北東側にある勝手口の施錠を確認したが、男の逃走後の現場検証では解錠されており、男は勝手口から逃走した。署員の前にも訪問者がいてインターホンが鳴ったが、勲さんがこの際に「もう行ってもいいか」と男に聞くと、男は「だめだ」と言い、勲さんに布団をかぶせて声が出ない状態にしたという。

 特捜本部によると、署員は保護した勲さんに「強盗です、助けてください。家の中にまだ2人います。死んでいます。犯人は逃げました」と言われ、目撃した男を被害者と思い、玄関先から「出てきてください」と声を掛けたという。勲さんは喜保子さん、雅樹さんの死亡を男から聞いたという。

 署員の対応について、特捜本部の立岩智博捜査1課長は「結果的に犯人かもしれない不審者に逃走されたが、当初は治療や現場保存などを行う必要があり、初動捜査にミスはなかった。事件の重要な目撃情報であるため(男の情報を)公表しなかった」としている。

 一方、玄関内などで見つかった3つの財布はいずれも小銭しか入っていなかったことを、捜査幹部が明らかにした。うち2つは雅樹さん、勲さん所有と確認され、もう1つは喜保子さん所有とみられる。室内には1万円札を含む紙幣数枚が落ちていた。


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室内に不審な若い男 蟹江強殺、署員目撃

 2009年5月8日 中日新聞 朝刊



山田さん宅を調べる捜査員=4日、愛知県蟹江町で




 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)と、次男で洋菓子店員雅樹さん(26)が自宅で殺された強盗殺人事件で、蟹江署員らが三男の会社員勲さん(25)を保護した事件発覚時、死傷した山田さんら3人とは別の若い男が室内にいたことが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。男はすぐに山田さん方から姿を消しており、特捜本部は、事件の詳しい事情を知っているとみて捜している。

 特捜本部によると、蟹江署員と雅樹さんの上司ら3人が2日午後零時半ごろに山田さん方を訪ねると、両手を電気コードで縛られた上、首などを刺された勲さんが玄関から出てきた。勲さんは「強盗です、助けてください。(室内に)あと2人残っています。犯人は逃げました」と話した。

 署員は勲さんを近くに待機させ山田さん方の確認に戻ったところ、玄関ドアのわずかなすき間から、室内でうずくまっている不審な男を目撃。黒っぽい服装の若い男だった。その後、署員が事件概要の連絡などをするうちに、男は室内からいなくなったという。玄関先路上には雅樹さんの上司らがおり、男は玄関以外の出入り口から抜け出したとみられる。

 勲さんは特捜本部の事情聴取に、男については「見覚えがない」と話している。犯人は長時間にわたり室内にとどまっていたとみられ、特捜本部は男の行方を追っている。

 一方、鈍器で頭や顔を殴られて殺害された喜保子さんの遺体は着衣がなく、体の血をきれいにふき取られた状態だったことが、捜査関係者への取材で分かった。

 特捜本部は、喜保子さんを執拗(しつよう)に殴った手荒な手口と相反する犯人の行動とみて詳しく調べている。

 遺体は1階和室押し入れの下段で発見され、肌着が掛けられ毛布に包まれていた。同じ1階にある洗濯機の中や水を張った浴槽からは、血が付いた毛布やタオル、衣服などが見つかっており、特捜本部は、犯人がこの一部で喜保子さんの遺体の血をふき取り、付着した血を洗い流そうとしたとみて血痕の鑑定を進めている。


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洗濯機に血ついた衣服 蟹江強殺

 2009年5月7日 中日新聞 夕刊




告別式後、斎場を出る2人のひつぎを乗せた車=6日午後、愛知県蟹江町で



愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)と、次男で洋菓子店員雅樹さん(26)が自宅で殺された強盗殺人事件で、山田さん方の洗濯機に血が付いた衣服が入れられていたことが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。風呂場の水を張った浴槽からも、血が付着した毛布やタオルが見つかった。犯人は雅樹さんを包丁で刺した際などにけがをしたとみられ、特捜本部は、犯人が自分の血や被害者の血を室内でぬぐい、証拠隠滅や現場の偽装を図った可能性があるとみている。

 特捜本部の現場検証で、新たに血の付いた衣服が、洗濯機内で見つかった。既に水洗いされた衣類の上にあり、山田さんの家族が洗濯機を使った後、犯人が投入したとみられる。洗面所にも血が付着した男女の衣服が複数あった。いずれも誰のものか分かっていない。

 また、浴槽の毛布などは血を洗い流した形跡があり、水はピンク色に染まっていた。2人の遺体が発見された和室と廊下を挟んで向かい合う居間には血痕をぬぐった跡があった。






 特捜本部によると、雅樹さん殺害の凶器とみられる包丁は刃が柄から外れており、犯人が激しく刺すうちに自らも手をけがした可能性が高い。さらに負傷した三男の会社員勲さん(25)は事情聴取に、2日午前2時半ごろの帰宅時に犯人に襲われた状況について「もみ合ううちに包丁を奪って振り回し、それが犯人に当たったかもしれない」と証言している。喜保子さん殺害に使ったとみられるモンキーレンチは玄関近くの廊下で見つかっている。

 特捜本部は採取した血痕の鑑定を進め、犯人の衣服が残っていないか調べている。

 一方、喜保子さんが1日午後9時ごろ、自宅の電話で友人と話していたことが、捜査関係者らへの取材で判明した。勲さんは、同日午後8時ごろの外出時に喜保子さんは自宅にいたと説明している。

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 亡くなった喜保子さんと雅樹さんの葬儀は6日午後、蟹江町内の斎場で密葬で営まれ、参列者が2人との最後の別れを惜しんだ。

 けがをして入院中の勲さんをはじめ、親族らごく親しい知人が参列。出棺の際には、ハンカチで口を押さえ、涙で2人の遺体を乗せた車を見送る人の姿もあった。

 別居している長男(31)は取材に「警察にお任せしています」と話した。

「目覚めた後も犯人とやりとり」 愛知・蟹江殺傷で負傷三男

2009年5月6日 中日新聞 朝刊



報道陣が詰めかけた山田喜保子さん、雅樹さんの通夜=5日午後、愛知県蟹江町で



 愛知県蟹江町蟹江本町の会社員山田喜保子さん(57)方で、喜保子さんと次男で洋菓子店従業員雅樹さん(26)が殺害された強盗殺人事件で、負傷した三男の会社員勲さん(25)が、「犯人に襲われて意識を失ったが、その後、いったん目が覚めて『早く帰ってくれ』と言った」と蟹江署特捜本部に説明していたことが分かった。捜査関係者が明らかにした。犯人は一連の犯行後も現場にとどまっていた可能性があり、同本部は犯人がなぜすぐ逃げなかったか犯行の目的を調べている。

 同本部に対する勲さんの証言によると、2日午前2時ごろに襲われた際、勲さんは犯人から「金を出せ」「静かにしろ」と迫られた。首や背中を刺されて意識を失った後、いったん目覚めて犯人とやりとりした時間は分かっていない。

 また、雅樹さん殺害の凶器とみられる包丁の刃が柄から取れた状態で見つかったことも判明した。洗面所の水がたまった流しに包丁の刃だけ浸された上、水道水が出しっぱなしになっており、柄は近くにあった。

 犯人は包丁が壊れるほどの強さで繰り返し雅樹さんを刺した後、包丁に付いた血を洗い流そうとしたとみられる。

 同本部は犯人が自らもけがをした可能性があるとみて、現場に残された血痕の鑑定を進めている。

 殺された飼い猫は喜保子さんの遺体が見つかった押し入れの上段に置かれていた。喜保子さん殺害に使われたのは、ナットを挟む部分の大きさが調節できるモンキーレンチで、玄関付近で見つかった。血をふき取ったような形跡があった。勲さんと雅樹さん所有の玄関の鍵は玄関内にあったが、これとは別に玄関の鍵1本が外側で見つかったことが確認された。



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蟹江殺傷、死亡2人の顔に殴打痕 強い恨み?飼い猫も殺す

2009年5月5日 中日新聞 朝刊




 愛知県蟹江町蟹江本町の会社員山田喜保子さん(57)方で、喜保子さんと次男で洋菓子店従業員雅樹さん(26)が殺害された強盗殺人事件で、2人の顔面に激しく殴られたあとがあることが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。喜保子さんの死因は4日の司法解剖の結果、頭を鈍器で殴られた外傷性脳障害だった。室内から喜保子さんがかわいがっていたペットの猫も殺されて見つかっていたことも新たに判明。2人は執拗(しつよう)に暴行を加えられており、特捜本部は山田さん家族に犯人が強い恨みを抱いていた可能性があるとみて交友関係を調べている。

 特捜本部によると、2人はともに顔が腫れ皮下出血があり、何度も殴られたとみられる。喜保子さんの後頭部の骨が激しく折れていたほか、ひも状のもので首を絞められたあともあった。室内から鉄製工具が見つかっており、凶器とみられる。当初、刃物によるとみられた背中の傷は鈍器で殴られた際にできたものだった。

 一方、雅樹さんの背中の複数の刺し傷は、山田さん方洗面所で見つかった包丁の刃形と一致。山田さん方で普段使われているものとみられ、血は洗い落とされていた。

 犯人に首の後ろや背中を刺されて負傷した三男の勲さん(25)は特捜本部の事情聴取に、2日午前2時ごろの帰宅時に男1人に背後から刃物で襲われ、電気コードで両手を縛られて現金を要求されたと証言。この際、粘着テープで口をふさがれたという。男に見覚えはなく、男の言葉は「違うイントネーションの日本語だった」と話している。

 山田さん方室内から3人それぞれの預金通帳は見つかっており、財布も3つあったが、現金が奪われたかは不明。

 2日正午すぎに蟹江署員が駆けつけた際、玄関は施錠されていたが、勲さんが所有していた玄関ドアの鍵が屋外の敷地内で見つかった。

 犯人は一連の犯行の数時間、室内にとどまっており、特捜本部は現場をさらに詳しく検証し犯人の行動や持ち去られた物がないか調べる。

蟹江殺傷、押し入れに母の遺体 血洗った包丁も発見

2009年5月4日 中日新聞 朝刊
 
 愛知県蟹江町蟹江本町の会社員山田喜保子さん(57)方で、次男で洋菓子店従業員雅樹さん(26)が背中を刃物で数カ所刺され殺害された事件で、所在不明だった喜保子さんが3日、雅樹さんが発見された1階和室の押し入れから遺体で見つかった。県警によると、後頭部に激しく殴られたあとや背中に刺し傷があり、殺害されたとみられる。軽傷を負った三男の会社員勲さん(25)が「襲われた男に『金はないか』と言われた」と話していることから、県警は容疑を強盗殺人に切り替えて特別捜査本部を設置した。

 凶器とみられる包丁が血を洗い流した状態で家の中で見つかっていたことが、関係者への取材で判明。特捜本部は山田さん方で使われていたものとみて、確認を急いでいる。

 特捜本部が3日朝からあらためて現場検証したところ、肌着姿で押し入れ下段に横向きに押し込められていた喜保子さんを発見。遺体には毛布がかぶせられていた。遺体の状況から雅樹さんと同じころに和室で殺害されたとみられ、4日に司法解剖し死因を調べる。喜保子さんは、勲さんが1日午後8時ごろに外出した際は自宅にいたが、その後所在が分からなくなっていた。

 特捜本部の調べによると、山田さん方の室内には土足で侵入した跡はなかった。侵入が可能なのは1階玄関と勝手口とみられるが、事件当時の施錠状況は分かっていない。和室と1階廊下以外には目立った血痕はなかった。

 勲さんは特捜本部の事情聴取に対し、2日午前2時ごろに帰宅した際、玄関内で男1人に後ろから上着をまくり上げられて顔にかぶせられ、刃物で襲われたと証言。この際、男が金を要求したのに対し、勲さんが「うちには金はない」と答えるなどのやりとりをした後、気を失ったという。

 捜査関係者によると、玄関内には勲さんのものとみられる現金入りの財布と紙幣数枚が落ちており、捜査本部は室内に奪われた物がないか確認を進めるとともに山田さん家族周辺に何らかのトラブルがなかったか調べる。

 また、特捜本部の3日の司法解剖で、雅樹さんの死因は出血性ショックと分かった。背中の傷の一部は肺にまで達していた。

 喜保子さんの発見に時間がかかった点について、特捜本部は「(雅樹さんが遺体で見つかった部屋の)物的証拠や微物の収集を優先し、押し入れの中は目視にとどめたため」としている。

山田喜保子さんの遺体を運び出す愛知県警の捜査員ら=3日午後、愛知県蟹江町で
 

兄弟縛られ次男死亡 愛知・蟹江の民家

 2日午後零時半ごろ、愛知県蟹江町蟹江本町海門の山田喜保子さん(57)方で、喜保子さんの次男で洋菓子店勤務の雅樹さん(26)、三男の勲さん(25)の2人が縛られて倒れているのが見つかった。雅樹さんは背中を少なくとも2カ所、刃物で刺されており、意識不明の状態で病院に運ばれたが死亡が確認された。勲さんも縛られ、首などを刺されていた。喜保子さんは不在だった。家の中を物色された形跡があり、県警は強盗殺人事件とみて捜査を始めた。

 県警の調べでは、家族は3人暮らし。2日未明、兄弟のうち1人が外出先から自宅に戻ると、もう1人が倒れているのを見つけた。その場で複数の犯人と出くわし、縛られたという。犯人は片言の日本語を話し、外国人だったとの情報もある。

 2日朝になり、被害者が会社に出勤しないことを上司が不審に思い、警察官とともに訪ねたところ、2人が縛られているのが見つかった。

 現場は近鉄蟹江駅北側の住宅街。

                                           2009年5月2日 中日新聞 夕刊


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